
普段ごくあたりまえに「色(いろ)」という言葉を使っているけれど、
「どうして色は「色(いろ)」なんだろう?」と思いつき、調べてみました。
一番古い時代に使われていた「いろ」は、万葉集に出てくる
「いろせ」「いろね」「いろと」「いろも」という言葉で、
「いろせ」「いろね」は「同じ母から生まれた兄・姉」
もしくは「深く敬愛する兄・姉」、
「いろと」「いろも」は「理想の男性・女性」
もしくは「恋しい男性・女性」を示すのだそうです。
「色」という漢字は
「巴」は座っている女性、
「ク」は立っている男性を表していて、
男性が女性を抱く形、つまり性的な関わりを表しているのだそうです。
「色っぽい」とか「色気」とか「色恋沙汰」とか、性的な匂いがただよう言葉にも
「色」という言葉が使われるのは、元がそういう意味だからなんですね。
「色(いろ)」は、心身両方の情や愛を示す言葉
だったことが伺えます。
この当時はまだ化学色材がなく、色彩は自然の中にのみ見い出だすもので、
染色や着色に使う材料も、自然の生物(植物・虫・石など)から採取していた時代です。
きれいな色や好きな色を見たときに、人は感動したり心が踊ったりするけれど、
昔の人々は自然の中に見い出した現象を表す言葉に、
人への愛や情や恋心を示す「色(いろ)」という言葉を使ったんですね。
そう言い始めた人々の、色の数だけ心が揺れ動くさまが伝わってくるような気がします。
「色」は、理屈で説明しにくいものとか本能とのつながりが深いんですね。
ちなみに「色彩」は、中国では色のことを「采」と言っていたのが日本に伝わり、
日本の「色」の文字と組み合わさって、「色彩」という言葉ができたそうです。
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